目指している治療方針
苦痛のない内視鏡検査を安全に行い、それによる胃癌、大腸癌の早期発見
内視鏡検査は、患者さんが次回も受けたいと思われて初めて早期発見につながるため、経静脈麻酔(静脈から軽い麻酔薬を注入する方法)を用いて、眠って行える苦痛を感じない内視鏡検査を目指しています。
また、眠らなくても行える患者さんには通常の咽頭麻酔で施行させて頂いています。
経静脈麻酔の際には、作用時間の違う2剤の薬剤を組み合わせて施行させて頂きます。この方法では、アンケート調査で全く苦しくなかったと答えられた方は、上部内視鏡検査では99%、下部内視鏡検査では95%に達しております。
社会的背景
進行癌の患者さんに「なぜここまで放置されていたのですか」とお尋ねすると、「昔受けた内視鏡検査が辛くて、内視鏡検査を受ける事ができなかった」との答えが返ってくる事を多くの外科医が経験します。
しかしながら、内視鏡教育では内視鏡技術を磨く事が重要で、経静脈麻酔(sedation)は長い間にわたり邪道とされてきました。
ただ、最近では、経鼻内視鏡検査が登場し、内視鏡の技術を磨くことには限界があることを示す結果となりました。
当院での薬剤の使用方法
いまだ、一般的なsedationでは、単剤のみの使用が多いようですが、当院は、2つの作用時間の違う薬剤を組み合わせる事により、副作用を減らし、かつ、効果を上げる方法を行っています。いわゆるsynergistic(相乗効果)という考えです。
薬剤の使用方法は、維持薬として中間作用型のミダゾラムを、調節薬(追加薬)として短時間作用型のプロポフォールを使用しています(半減期、ジアゼパム:28〜35時間、ミダゾラム:120分、チオペンタール:2.8分、プロポフォール:2.6分)。現在は、ミダゾラムの比率を下げ、プロポフォールの比率を上げ、覚醒時間の短縮につとめています。
効果
この方法のアンケート調査では、全く苦しくなかったと答えられた方は、上部内視鏡検査では99%、下部内視鏡検査では95%に達しており、なによりも、次回もこの方法を希望とすると回答された方が、上部内視鏡検査では98%、下部内視鏡検査では95%でした。
処置
ポリープの内視鏡による切除は、日帰り手術が可能な1cmまでを目安としています。それ以上の大きさのポリープ切除は総合病院に紹介させて頂きます。
覚醒時間と検査説明
検査後は1時間ほどはベットの上で休んで頂き、目を覚まされた方から検査の説明をさせて頂き、帰宅となります。
なお、麻酔を使用した場合は、その日の車の運転はしないで頂いております。